医学的なエビデンス(EBM*)に基づいたサプリ&ハーブ情報(4)

医学的なエビデンス(EBM*)に基づいた医療情報(4)

・泌尿器系
良性前立腺肥大症(BPH)

ランクA:ノコギリヤシ
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ノコギリヤシは、北米南東部のヤシ科の植物で、45cm-1mに広がる特徴的なノコギリ状の葉を持つのが特長です。ノコギリヤシの中国語名は「棕櫚子」です。
薬用部位は実で、中国では古くから泌尿器疾病の治療薬(漢方)として利用され、さらに強壮、利尿に効果があるとされてきました。
一般に「泌尿器疾患に有効である」といわれ、前立腺肥大症に対する作用など、一部にヒトでの有効性が示唆されています。
安全性についてはまれに胃腸障害が見られますが、適切に使用する場合にはおそらく安全と思われます。

ただし、医薬品との相互作用が報告されており、性ホルモンに対する作用があることから、女性の妊娠中・授乳中は控えた方がいいとされています。

泌尿器系への作用
前立腺肥大症に対して、おそらく有効と思われます。
48週間にわたる複数の臨床研究により、ノコギリヤシは頻尿、排尿痛、尿意切迫、会陰の重苦しさ、排尿困難などを軽減したという報告があります。

また夜間の尿の回数を減少し、最大及び平均尿量を増やし、残尿感を改善した報告されています。これは既存の医薬品に匹敵するほどの作用と考えられています。

ただし、ノコギリヤシは前立腺の大きさや、前立腺特異の抗原価を減少させることはありません。
またノコギリヤシが効果を示すまでには摂取し始めてから1-2ヶ月を必要とします。
ほとんどの臨床研究は脂肪酸80-90%を含むノコギリヤシ実の脂質抽出物を使用しています。

良性前立腺肥大に対して有益である可能性が高いと考えられます。
良性前立腺肥大における二重盲検での臨床研究が近年多数発表され、リポイドヘキサン抽出物あるいは超臨界CO2抽出物が、良性の前立腺肥大における排尿困難、夜間尿、頻尿、尿放出力減退などの自覚的・他覚的症状を改善することを示しています。

安全性情報
・経口で適切に摂取する場合おそらく安全と思われます。ノコギリヤシは48週にわたる臨床試験により安全性が確認されています。
・コミッションE(ドイツの薬用植物の評価委員会)は、ノコギリヤシを摂取する場合、医師に定期的に診断を受けるべきであると指摘しています。これは、ノコギリヤシは症状は緩和しますが、前立腺サイズ肥大の進行を止めないため、前立腺がんの進行を見逃す可能性があるからです。

・経口摂取の副作用は一般的に軽度であり、主なものとして吐き気、嘔吐、便秘、下痢、腹部不快感、腹痛などの胃腸症状、めまい、不眠、疲労、頭痛、筋肉痛、高血圧症などが報告されています。そのため、消化器疾患がある人や高血圧症の人は慎重に使用する必要があるとされています。

・ノコギリヤシまたはその成分に対するアレルギーや過敏症がある人は注意して使用する必要があります。

医薬品等との相互作用
・ 経口避妊薬やホルモン療法との併用で、それらの効果に影響を与えることがあります。そのため、ホルモン補充療法を受けている人やホルモン感受性の状態にある人は、慎重に使用する必要があります。

・抗血液凝固薬や抗血小板薬との併用で、出血傾向が高まるとの報告がありますが明確ではありません。

・理論上は、ノコギリヤシを摂取すると、前立腺特異抗原(PSA)値を人為的に低下させる可能性があるため、前立腺がんの診断を遅らせたり、治療に影響を及ぼしたりする可能性もあります。

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ランクB:ビジウム(Pygeum)アフリカンプラム

ピジウムは元々はアフリカ産の常緑高木で、樹皮は数千年にわたって薬用として用いられてきました。古くからアフリカ・ヨーロッパでは良性前立腺肥大(BPH)に対し人気のあるハーブです。樹皮を粉末にしてお茶として経口摂取されてきました。

とくに夜間排尿の頻度、尿流速度、残尿量などのBPHの症状がビジウム樹皮エキスの投与によって改善されることが報告されています。米国ではノコギリヤシが一般的でしたが、ヨーロッパではビジウムが有名です。

安全性情報
BPHに対して1日100mgの用量であればおそらく安全とされています。
ビジウムエキスのヒト前立腺5α-リダクターゼ阻害作用は処方薬フィナステリドより弱いとされていますが、前立腺癌の患者はその使用にあたっては医師と相談してください。


C:レッドクローバーレッドクローバー

レッドクローバーはダイズのように植物エストロゲンを含有するマメ科の植物です。伝統的に喘息、百日咳、癌、痛風の治療や予防に用いられてきました。今では、更年期障害(代替ホルモン補充療法)、高脂血症、骨粗鬆症、前立腺肥大(BPH)などの予防にに使用されていますが、「ナチュラルスタンダードによる有効性評価 ハーブ&サプリメント」(キャサリン・E.ウルブリヒト&イーサン・M.バッシュ編集 産調出版 の評価ではCランクに位置付けられています。(C:使用効果があるという化学的根拠は不確か。実はほとんどのサプリとハーブがこのCランクに入ります。)


・尿路感染症
B:クランベリークランベリー

クランベリーは、ブルーベリー、コンコードグレープと並んで北米三大フルーツのひとつともいわれるほどポピュラーな果物です。
特に尿路感染症に対する効果が知られており、細菌の付着を直接抑制すること、尿のpHを下げ細菌の増殖を抑えること、またこれらの効果にはいくつもの成分が関与していることが示唆されています。

酸味の強い果物なので、ジュースなどで摂取する場合は、糖分の摂りすぎにも注意が必要です。

安全性については、適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われます。


・利尿効果
B:スギナ
欧州ではスギナは伝統的に浮腫の治療を目的とした経口利尿薬として使用されてきました。ドイツのコミッションEは浮腫を適応症とするスギナの使用を承認しています。
ヒトでの利尿効果を裏付ける報告があります。
スギナを大量に摂取するとチアミン欠乏、低カリウム血症またはニコチン毒性を引き起こす可能性が示唆されています。これまでに報告された副作用は皮膚炎です。

続く(5)→

Evidence Based Medicine(EBM)=医学的な根拠に基づいた医療
医師個人の経験や慣習、偏りがちな権威者の意見などに左右されるのではなく、知りうる限りの疫学的研究成果や実証的・実用的な信頼できる根拠(evidence)に基づき、患者にとって最良の、効果的かつ質の高い治療を行う医療。EBMとは医療を円滑に行うための道具であり、医師にとってののぞましい行動指針である。→健康用語辞典

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